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食の新潟国際賞

受賞者紹介

受賞者ご紹介
本賞/坪井 達史 氏(つぼい たつし)
ウガンダ国立作物資源調査研究所 JICA稲作上級技術アドバイザー/日本

 坪井氏は30年間に渡って、アジア・中東・アフリカの開発途上国において稲作技術の指導に携わってきた。
 前半はアジア各国において水稲を中心に稲作技術を指導した。その後コートジボワールを皮切りにアフリカの活動を行う中で、90年代半ばに開発された陸稲(ネリカ)のポテンシャルに注目し、04年以降、ウガンダにおいてネリカ振興のための試験研究や普及に取り組んでいる。
 氏の技術指導を通じて恩恵を受けたウガンダの農業関係者や農民は1万4千人以上に上る。同氏は、アフリカにおける稲作の技術開発と普及を実践する世界的な第一人者であり、日本を含む国際社会がアフリカにおいて稲作振興に取り組むにあたり、今後も中核的な役割を果たしていくことが期待される。
1949年12月11日生まれ。(64歳)

佐野藤三郎特別賞/C.L.ラクシュミパティ・ゴウダ 氏(C.L.ラクシュミパティ・ゴウダ)
国際半乾燥熱帯作物研究所(ICRISAT)副所長/インド

 ゴウダ博士は過去37年間に亘って、高収量と抗立ち枯れ病や、抗オオバコ対策に重点を置きながら、ヒヨコマメの改良開発研究に携わってきた。
 彼と彼のチームは、進んだ品種系列を開発し、これを世界中の30カ国供給した。
 この品種素材を基礎にして、10カ国の発展途上国の科学者たちが、68種類の高収穫品種を開発する事ができた。
 これらの品種の多くは農家の収入向上や国家のGDPに対して、目覚ましい貢献となった。1949年6月インド生まれ。(65歳)

21世紀希望賞/中井 博之 氏(なかい ひろゆき)
新潟大学大学院自然科学研究科 助教/日本

 自然界には多種多様なオリゴ糖が存在しており、そのそれぞれが独自の機能性・利便性を有しているが、多様性に富むオリゴ糖のそれぞれの単一で低コスト大量調製が困難なため、現在産業的に利用可能なオリゴ糖はごくわずかである。
 中井博之博士は、ホスホリラーゼという自然界に存在する安全な生体触媒である糖質関連酵素を活用して、ヒトの健康保持増進に有益な機能性オリゴ糖のバリエーションを大幅に拡大し(200種類以上)さらにデンプンやセルロースなどの植物性バイオマスまたカニやエビなどの甲殻類の外骨格を形成するキチンなどの海洋性バイオマスを、高付加価値な機能性オリゴ糖に高収率変換する革新的な低コスト汎用製造技術の開発に成功した。
1977年10月生まれ。(36歳)

「第3回食の新潟国際賞」受賞者の決定にあたって
理事長 古泉 肇

 「食の新潟国際賞」は貧困や飢餓、食糧生産、供給など世界の食の課題に挑み、顕著な業績を納められた個人や団体に対し2年に1回顕彰する、日本国内では食分野では唯一の国際賞でございます。 この国際賞は新潟県内の食品を中心とする産学官民の有志が結集し、その篤志により創設・運営され、2010年に第1回国際賞の表彰式が開催されました。
 国際賞には世界15ヶ国から多くの推薦応募をいただきました、御推薦・御応募をいただきました皆様にこの場をお借りして厚く御礼を申し上げます。
 そして唐木選考委員長の下、11名の選考委員の方から最終的な受賞候補者を推薦いただき、財団理事会において3名の受賞者を決定させていただきました。
 今回受賞された皆様の活動はまさに食の新潟国際賞の創設目的にふさわしい受賞であり、皆様のご功績に改めて敬意を表するとともに受賞された3名の皆様に心からお祝いを申し上げます。
 今後も私たち新潟が、世界の多くの人々との連携と協力のもと、先人の志を継ぎ、新潟の財産である食を通じて世界に貢献したいという強い願いがこの食の新潟国際賞を通じて世界に発信されますことを心から願っております。

「第3回食の新潟国際賞」受賞候補者の選考について
選考委員長 唐木英明

 食の新潟国際賞受賞候補者の推薦には多数の応募があり、三つのポイントで選考させていただきました。
選考委員が、特に注意をしたのは「量」「質」「配分」という三つの問題の解決に力を注ぎ成果を上げられた方を重点に選考をいたしました。食における量の問題、質の問題、配分の問題を解決するということは、量の問題では世界の人々の健康の栄養状況が改善されるということであり、質の問題では付加価値を付け、経済的に地域が豊かになることであり、配分を解決するということは、格差を解消することにより争いをなくし世界の平和をもたらすという大きな目的につながるからです。
 本賞の坪井さんについては米の生産を上げるということで、特にアフリカ地域での食糧の不足と経済的な困難さを解決し非常に大きな功績を上げたれた方です。
 佐野藤三郎特別賞のゴウダさんについては非常に国際的な研究をされており、東南アジア地域を中心として豆という作物の改良を通じて地域の食糧問題の解決だけでなく、経済的な面で非常に大きな功績を上げられたことで選出しました。
 21世紀希望賞はこれから業績を上げて、食糧の問題を解決できる可能性があるという夢のある研究をしている中井さんを選びました。中井さんが研究するオリゴ糖は人間の健康を守る上で将来非常に有効で有用な素材になるだろうと思われています。中井さんは新しいオリゴ糖作り出す、あるいはオリゴ糖を上手く合成し沢山作って応用ができるという研究で業績を上げつつあり、将来に夢があるという研究をしているということで選出されました。
 優秀な候補者をご推薦いただいた世界の多くの関係者の皆様、そしてご多忙の中をご審査いただいた選考委員の皆様に心から感謝申し上げます。

選考委員会
唐木 英明 公益財団法人食の安心・安全財団
赤阪 清隆 公益財団法人フォーリンプレスセンター理事長
石井 勇人 共同通信社 編集委員
日本農政ジャーナリストの会副会長
今野 正義 日本食料新聞社 代表取締役会長CEO
坂本 元子 和洋女子大学名誉教授・評議員
柴田 明夫 株式会社資源・食料問題研究所所長
生源寺 眞一 名古屋大学大学院生命農学研究科教授
シンディ・ハイドラ オランダ大使館 農務参事官
引野 肇 日本科学技術ジャーナリスト会議事務局長
中日新聞社 東京本社編集委員
平山 征夫 新潟国際情報大学学長
山野井 昭雄 味の素株式会社 社友