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食の新潟国際賞

受賞者紹介

受賞者ご紹介
本賞/ジョゼット・シーラン 氏(Josette Sheeran)
世界経済フォーラム副議長・WFP 国連世界食糧計画前事務局長/米国

 1954年6月12日 米国・ニュージャージー州生まれ。
 2007年4月から2012年4月まで、国連世界食糧計画(WFP)のエグゼクティブ・ディレクター(事務局長)を努め、現在は 世界経済フォーラム(ダボス会議)の副議長。
 フォーブ誌の100人の最もパワフルな女性の1人であり、外交分野でも大きな影響力を持ち、MARS社のアドバイザー、CSIS財団の開発審議員および米国国務省の市場アクセスについての女性職業指導委員会国際評議員としても活躍。
 また国務次官補として、経済・資源・農業を担当し、2006年に国連の高等システム統合パネルに参加、開発・人権援助および環境を担当。
 さらに アジア・アフリカとの交渉を行う米国通商代表も務める。
 2度に亘り、ピューリッツァー賞の選考委員となり、現在外交委員会のメンバーでもある。
 飢餓に対する人権確保の功績により、ブラジルの民間における最高の賞「リオ・ブランコ」を受賞。

 ジョゼット・シーラン氏は、過去5年間 国連世界食糧計画(WFP)の事務局長を務め、この間 WFPのリーダーとして 職員とともに 75ケ国・10億5百万人の人々の援助を行ってきた。

 WFP在任中、高騰する食糧価格と燃料価格 そして世界的な金融危機の中で指導力を発揮し、WFPの機能をコントロールしてきた。

 その指揮のもと WFPへの寄付は、歴史的な食料危機に応え 50億ドルに増え、寄付国も100を超える。

 また私的組織からの寄付も 2007年から2010年の間に7百万ドルから1億5千万ドルに増加。

 シーラン氏の飢餓撲滅に対する飽くなき情熱は、世界の多くのリーダーに「空っぽの胃の上に平和は築けない!」という意識を植え付けることに成功した。

 シーラン氏は「今の私たちには科学と技術の力によって、飢餓が発生している地域に食糧を届ける手段があるのだから、私たちが生きているうちに飢餓との闘いに勝てるはず。」と語っている。

 またシーラン氏は、災害や非常時において生命や生活を救済するための新しい「非常時手順」を導入し、WFPの能力改善を図った。


主な非常時手順

  • 60以上の国の2千2百万の小学校へ学校給食を提供することで、子供たちに基礎的栄養を補給。また貧困家庭のセーフティネットとしても機能。
  • 効率よく食糧を入手できるように、クーポンや現金を支給。
  • 食糧は 出来るだけ援助を必要としている地域の近くで買い付け、その際は 小規模農家や女性の優先を心がける。

 シーラン氏の精力的かつ献身的な活動は、人道的食糧支援の必要性を世界に認知させることに 大きく寄与した。

佐野藤三郎特別賞/梅林 正直 氏(うめばやし まさなお)
三重大学名誉教授/日本

 昭和8年(1933年)8月11日(金) の東京生まれ、28年間東京育ち。 満79歳。
 戦争中に母の実家の三重県津市郊外に半年間疎開。敗戦後に東京に戻り、私立成蹊中学・高校(昭和27年卒)、東京大学農学部農芸化学科(昭和31年卒)。
 農林省農業技術研究所(7年間勤務)を経て、三重大学農学部(昭和38年講師、助教授、教授)、学部名変更により生物資源学部教授となり、三重大学で合計34年間教職に就いた。
その間、
 昭和44年10月農学博士学位取得 東京大学「高等植物のAmonoacylase に関する研究」
 昭和49年2~10月 スウェーデン農科大学客員研究員:環境化学
 昭和55年8~10月 スウェーデン農科大学客員研究員:溶存ガス分析
 平成9年6月 三重大学名誉教授
 専門分野は土壌学、植物栄養学、環境化学、分析化学
 この間にはタイ仏暦2522年(昭和54年、1979年)に初めて訪タイ。
以後82回、延べ15年間のタイ在に及ぶ。
 スウェーデン王立農林学アカデミー外国人会員 モットーは、夢とあそび  ( あ:遊び心、 そ:創造、 び: 美と美味 )

 梅林正直氏は、17年間、タイ北部山岳地帯(黄金の三角地帯/タイ・ラオス・ミャンマーの国境地帯)において危険を伴う状況の中、果樹植樹活動を中心とした農業国際協力に献身的に取り組んできた。

 この地域はかつてケシ栽培が行われていた地帯で、ケシに代わって地域住民の自立を支援する持続可能な農業の確立が切望されていた。

 そのような状況において、梅林氏は梅およびライム(マナオ)を中心とした果樹栽培による自立支援を提案し、梅2万2千本ライム1万8千本果樹苗を寄贈・植樹する活動を続けた。

 これらの活動は すべて自己資金で行われており、自己資金は日本各地における講演活動等により調達。

 また危険地帯での植樹活動は氏が単独で行ったが、安全な地域での植樹活動については「チェンマイ七夕植樹祭」等を催すなど、一般市民(タイ人および日本人)にも、その活動を広めた。

 このように、個人で果樹植樹活動を地道に続け、持続的な農業モデルの構築と地域住民の自立支援を行ったことが評価され、2000年にタイ国政府から「タイ国友好賞」を授与される。

 また 2008年には日本国の外務大臣表彰を受けた。
 梅林氏の活動は、現地農民の収益増にもつながり、世界的には 麻薬の生産減としても注目され、前述の各賞授与となった。

  また専門の土壌肥料学の観点から、この土地に最適な樹種を見い出して定着させて、極貧の農家経済に貢献したことも 注目すべき点である。

21世紀希望賞/ンネメカ・イケグオヌ 氏(ンネメカ・C・イケグオヌ)
スモールホルダーズ財団 事務局長/ナイジェリア

 1982年5月29日ナイジェリア生まれ。
 ナイジェリアの南東に位置する 貧しい地域で育ち、家族とともに懸命に働きながらも 貧困を目にしてきた。
 大学でジャーナリズムを学ぶことを目指すが失敗。 歴史と国際学を学ぶも、ジャーナリズムへの情熱は持ち続ける。
 子供時代から青年期を通じ、地方農民の貧困の原因は、適切なタイミングでの情報の欠如、それを含む農業支援体制の崩壊だと考える。
 2003年 地域開発組織「スモールホルダーズ財団」を設立。
 2007年にはユネスコの支援を受け、小規模農民のための地域FM局を開局
 現在も ナイジェリア・IMO州の25万人の農民に向け、農業に必要な様々な情報を連日流し続けている。

 イケグオヌ氏の住むナイジェリア・IMO州の人々の生活を支えるのは農業であったが、文化的な中心から切り離されていたこの州の小規模農家では、原材料の不足、適切な指導・情報・技術の不足によって、満足な収穫も得られず、貧困の増加と食の安全の減少に見舞われていた。

 少年時代から この状況を目の当たりにしていたイケグオヌ氏は、持続可能な農業のために「スモールホルダーズ財団」を設立。

 また小規模農民のための地域FM局を開局。 ラジオを通じて IMO州の約25万人の農民に、環境保護や農業に関わる様々な情報、マーケット情報などを 1日10時間毎日放送し、情報提供し続けている。


スモールホルダーズ財団のおもな活動

  • 農業に関する様々な情報を提供することで、何を・いつ・どのように作れば良いのかを学び、そして収穫を増やす方法を学ぶ。
  • 放送内容は、穀物生産技術、ハイブリッド種の紹介、土壌管理、旱魃に強い作物紹介など多岐にわたる。
  • 無料で設置された相互間通信システムで、リスナー間の情報交換が活発になり、農民が自信を持ち始め、また女性の活躍の場を作る。 これにより、地域の活性化につながる。

 これらの活動は、小規模農民の生産性と生活を向上させるとともに、農民を自立させ、貧困者の減少にも大きく寄与している。

「第2回食の新潟国際賞」受賞者の決定にあたって
理事長 古泉 肇

「第2回食の新潟国際賞」はお蔭様で世界15ケ国から、国際賞候補者の推薦をいただき、3名の受賞者が決定されました。
 あらためて、受賞候補者のご推薦をいただきました皆様をはじめ選考作業にご協力をいただいた皆様に心から御礼申し上げます。
 当財団は国際賞を通じて世界と地域の発展に貢献するとともに、食に関する情報の国際的拠点化が少しでも実現されるよう一層の努力をしたいと考えております。
 来る10月15日には受賞者をお迎えして表彰式及び記念講演会が開催されますので是非多くの皆様の御出席をお待ちしております。
今後とも「食の新潟国際賞」へのご理解と本財団へのご支援をお願い申し上げます。

「第2回食の新潟国際賞」受賞候補者の選考について
選考委員長 唐木英明

 食の新潟国際賞受賞候補者の募集を行ったところ、予想以上に多数の応募があり、その数は世界15カ国に上ったことを大変にうれしく思います。
 多くの候補者の中から、本賞、佐野藤三郎特別賞、21世紀希望賞の各賞につき原則各1名しか採用できないため、選考委員一同大変に慎重かつ真剣な審査と議論を行って候補者を決定しました。

 本賞については、世界各国から推薦された候補者について選考委員が書類審査により評価を行いました。その結果を持ち寄って選考委員会において協議を行い、高得点者に順位をつけて理事会に推薦しました。

 佐野藤三郎賞および21世紀希望賞についても、世界各国から推薦された候補者について同様の選考を行い、高得点者に順位をつけて理事会に推薦しました。

 候補者の提示を受けた理事会はその内容について審議を行い、受賞者の決定を行いました。

 優秀な候補者をご推薦いただいた多くの関係者、そしてご多忙の中をご審査いただいた選考委員の皆様に心から感謝の意を表します。

選考委員会
唐木 英明 倉敷芸術科学大学学長
木村 修一 加齢・栄養研究所所長
生源寺 眞一 名古屋大学大学院教授
猪口 孝 新潟県立大学学長
平山 征夫 新潟国際情報大学学長
山口 寛治 奥野総合法律事務所特別顧問
柴田 明夫 株式会社資源・食料問題研究所代表
山野井 昭雄 味の素株式会社顧問
小出 五郎 日本科学技術ジャーナリスト会議前会長
今野 正義 日本食糧新聞社代表取締役社長
日向 志郎 株式会社日本農業新聞代表取締役社長