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食の新潟国際賞

受賞者メッセージ

受賞の言葉
大賞: 荒井 綜一 氏
東京農業大学 総合研究所 客員教授 /
神奈川県立産業技術総合研究所 食品機能性評価グループ 顧問 (日本)

「機能性食品科学の創出と展開—米穀研究を基盤にして」

最初のビタミンを米糠中に発見した鈴木梅太郎教授とその門下で私の恩師の櫻井芳人教授は常々コメの研究の意義を強調されていた。
私自身は大豆タンパク質の栄養性と嗜好性を酵素反応で改良する研究で多くの成果を挙げた。その途上、酵素反応を調節する物質を米糠中に見いだし、オリザシスタチンと名付けて、構造活性相関を明らかにした。これが契機となり、米粒の形状を維持した低アレルゲン米を創製し得た。
要するに、食品には①栄養性と②嗜好性の他に③病気を予防する働きがあることが判明し、機能性食品を具現化して世界に発信した(Nature, 1993)。
国内では特定保健用食品・機能性表示食品の制度が施行された。両教授(上記)のご示唆の一端を実現でき、今回の受賞の栄に浴したことに最大の喜びを感じている次第である。

大賞: ジェヤクマール・ヘンリー 氏
シンガポール臨床科学研究所 臨床栄養研究センター 所長 /
シンガポール国立大学(ヨン・ルー・リン医科大学)生化学科 教授 (英国)

私はこの度の受賞を知り心から光栄に思います。
私はスリランカで育ち、いつもに科学に興味を持っていました。
その当時テレビへのアクセスは不可能で、私にとって科学の世界に向けて開く窓は、小さいパナソニック・トランジスタ・ラジオでした。私は若い頃、自然に囲まれ、食べ物と栄養への好奇心に駆られました。
私は長年にわたって、食物がどうしたら新しい医薬品になるかの方法を見つけるために人生を捧げました。国際賞受賞で世界が直面している課題、すなわち今日、栄養不足の数百万人に十分な食料と栄養を提供することに引き続き取組むことを与えてくれました。
第2の課題は、我々が2型糖尿病で血糖値を管理し、調整するために食物をどのように使用できるかということです。私の主要研究の一つは、米と一緒に摂取することで血糖値が低下する場合の食物と食物構成要素を特定することでした。
私達はパラドックスの世界に住んでいます。世界の半分は栄養過多で残りの半分は栄養不足です。栄養失調は依然として幼児死亡率のもっとも大きな要因のままです。ほぼ、アジアの5才未満の子供の40%は、発育不良です。発育不良は認識力に影響を及し、それによって人間の発育を危うくします。
私は貧しい人々への十分な食糧と栄養の供給に私の生涯を捧げます。
今回の受賞は、食品を新しい医薬品にする研究においてさらに高い目標を達成することに私を駆り立てます。

佐野藤三郎特別賞: 村田 吉弘 氏
NPO法人 日本料理アカデミー 理事長 /
株式会社菊の井 代表取締役(菊乃井 主人)

このような素晴らしい賞を新潟県より頂きまして、驚きと共に大変嬉しく思います。ありがとうございます。
私は日本食文化を、ユネスコ無形文化遺産実現に向け動いて参りました。また、文化芸術振興基本法に「食文化」の明記を目指し活動を行って参りました。それらを達成できたことは、食品業界の大きな一歩に繋がりました。
しかし日本の食は危機に向かっております。日本の食料自給率は39%です。100年後には人口は現在の半分に減少するでしょう。その時豊かな食を保てるよう、現在は、食育や日本食の輸出促進、日本料理を世界のものにしようと、若い料理人と共に日々活動を行っております。
この度頂戴致しました賞は、今後の若い後継者の励みとなりました。改めて感謝致します。

21世紀希望賞: 前野 浩太郎 氏
国立研究開発法人 国際農林水産業研究センター(JIRCAS)
生産環境・畜産領域 研究員 (日本)

この度は「食の新潟国際賞・21世紀希望賞」という栄えある賞に選んでくださり、誠にありがとうございます。
選考委員の方々、これまでご支援くださった皆様に厚く御礼申し上げます。
これまで日本から遠く離れたアフリカで、バッタ大発生による食料被害の解決に取り組んできましたが、苦しい思いをすることもありました。まだ際立った成果をあげることができておらず、この度の受賞は大変恐縮な思いが強いのですが、「今後の発展が十分に期待できる」研究対象に選ばれたことは大きな励みとなりました。
持続的な食料安定生産というアフリカの希望を叶えるためにも今後とも精進いたします。