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食の新潟国際賞

受賞者紹介

受賞者ご紹介
大賞/グントゥール・ヴェンカタ・スバラオ 氏
国立研究開発法人 国際農林水産業研究センター 生産環境・畜産領域 主任研究員

受賞理由:
窒素肥料は土中での硝化活動で温室効果ガスの排出源ともなる。これを植物の根から放出される物質により抑制される「生物的硝化抑制(BNI)」を世界で初めて発見した。さらに、BNI強化小麦を実用化して、従来の収穫量を維持し、窒素肥料の使用量削減により環境負荷を低減することに貢献した。

主な活動・研究について:
窒素肥料は現代農業に欠かせないが、施用した窒素の多くは、土壌中の硝化菌の活動により流出し、環境と生態系に問題を引き起こしている。受賞者は、植物の持つ「生物学的硝化抑制(BNI)」(根が特定の物質を放出して硝化菌を抑制する)を発見し、この機能を野生コムギから導入することで、BNI強化コムギの開発に成功した。BNI強化コムギは窒素肥料を効率よく使用しながら高収量が期待できるため、窒素肥料使用量を半減でき、コムギ生産からの環境負荷の低減に向け、世界的な注目を浴びている。

大賞/ケイト・ケランド 氏
感染症流行対策イノベーション連合(CEPI) 首席科学ライター

受賞理由:
世界で最も多く使用されていた除草剤の「発がん性」の評価を巡り、国際的な機関の不正を調査報道で明らかにした。ニセ情報が瞬く間に拡散する時代で、食や健康への科学的根拠に基づく適切な情報提供の必要性と重要性を世界に示した。

主な活動・研究について:
将来の疾病発生に備えることの重要性や、CEPIの科学的パートナーシップについてのプレゼンテーション、スピーチ、社説、記事を書いている。また、現在、人類に最も重大な脅威を与えるウイルスの家族についての記事シリーズも執筆している。このシリーズ『The Viral Most Wanted』はCEPIのウェブサイトで公開され、vaccineswork.comなどの他のメディアでも配信されている。
2021年にCEPIに参加する前は、ロイターの特派員を務めており、ほぼ27年間のジャーナリズムキャリアの最後の12年間はグローバルヘルスと科学をカバーしていた。彼女の報道は、感染症の流行からワクチン、診断および治療法、がん、慢性疾患およびメンタルヘルス、環境および農業科学に至るまで幅広い分野にわたっていた。

佐野藤三郎特別賞/八丁 信正 氏
一般社団法人海外農業開発コンサルタンツ協会 会長
近畿大学 名誉教授

受賞理由:
農業の水資源の確保と利用効率向上のために、統合的なシステム管理と灌漑水管理の改善を図るための情報管理システム(SIMIS)を開発し、特に発展途上国の農業発展に貢献した。

主な活動・研究について:
農業部門における水資源の利用効率の向上ためのかんがいシステム管理のソフトウェアの開発を行った。そこでは、特に途上国における灌漑効率の向上を目的として、灌漑水管理に関わる情報のデータベースを作成し、それ用いた統合的なシステム管理とかんがい水管理の改善を図るための情報管理システム(Scheme Irrigation Management Information System: SIMIS)の開発を行った。また、国際水管理研究所(IWMI)の理事・理事長として、世界中の水研究者の育成にも関与するとともに国際的な農業/水管理に関する研究発展に寄与した。加えて、国際協力機構(JICA)等の事業管理委員として、世界の農業開発事業の実施、運営の効果的実施に貢献した。

21世紀希望賞/別府 茂 氏
一般社団法人 日本災害食学会 理事・副会長

受賞理由:
災害による被災者の実態を研究し、従来型の「非常食」ではなく、災害時にも普段の食生活と同様な食料を確保する「ローリングストック」を提唱。「災害食」という新たなカテゴリーを構築し「日本災害食学会」を創設した。国際認証制度の創設にも取り組んでいる。

主な活動・研究について:
1995年に発生した阪神淡路大震災をきっかけに、被災地の食問題の研究を開始。当時、勤務していたホリカフーズ(新潟県魚沼市)において災害時の食問題の調査・研究を担当し、レスキューフーズの開発に従事した。2004年新潟県中越地震では自ら被災し、高齢者をはじめとする被災者の実態やニーズを踏まえた災害食の必要性を痛感し、現在に至るまで、災害食分野の様々な調査・研究の成果を全国に発信し、生活の強靱化に取り組んでいる。

地域未来賞/新谷 梨恵子 氏
株式会社 農プロデュース リッツ 代表取締役

受賞理由:
新規就農者としてサツマイモの生産、加工販売で起業。6次産業化プランナーとして新規農業者のサポートや農家レストラン経営、農福連携、農業インターンの受け入れなど、地域の活性化に貢献している。

主な活動・研究について:
「さつまいもで町おこし」の想いから農カフェ経営・6次産業化プランナー・農家の営業代理店・農作業作業受託・農産物生産、加工、販売をプロデュース。女性の働きやすい職場作り、食育活動、農福連携、農業インターン受け入れ等、人材育成にも取り組む。

地域未来賞/三ツ井 敏明 氏
国立大学法人新潟大学 社会連携推進機構 特任教授

受賞理由:
温暖化による夏季の異常高温と渇水によるコメの品質低下と収量の大幅減少に対応するために、高温耐性を有する「コシヒカリ新潟大学NU1号」を開発し、今後の新潟県の稲作を救う期待と貢献は大きい。

主な活動・研究について:
イネにおけるデンプン分解酵素の基礎研究を、生理・生化学的、および分子細胞生物学的手法を駆使して精力的に進め、その一方で、「高温に強いコシヒカリ」の研究に取り組み、新大コシヒカリ(品種名:コシヒカリ新潟大学NU1号)を開発した。さらに、海外の研究者との密接な交流を通じて気候変動下における作物生産向上に貢献すべく国際共同研究を展開している。

第8回選考委員会
唐木 英明 食の信頼向上をめざす会 代表
東京大学 名誉教授
赤阪 清隆 (公財)ニッポンドットコム理事長
元日本政府 国連大使 国連事務次長
今野 正義 日本食料新聞社 代表取締役会長CEO
清水  誠 東京大学 名誉教授
東京農業大学 客員教授
生源寺 眞一 (公財)日本農業研究所 研究員
東京大学 名誉教授
西澤 直子 石川県立大学 学長
阿部 啓子 東京大学 名誉教授
(一社)バイオインダストリー協会 評議員
平沢 裕子 産経新聞社 編集局 文化部 記者
(一社)日本乳業協会 理事
原田  惇 新潟県農業総合研究所 食品研究センター長
青山 浩子 新潟食料農業大学 教授
(公社)日本農業法人協会 理事

(敬称略、ご経歴は選考当時のものです)