受賞理由:
窒素肥料は土中での硝化活動で温室効果ガスの排出源ともなる。これを植物の根から放出される物質により抑制される「生物的硝化抑制(BNI)」を世界で初めて発見した。さらに、BNI強化小麦を実用化して、従来の収穫量を維持し、窒素肥料の使用量削減により環境負荷を低減することに貢献した。
主な活動・研究について:
窒素肥料は現代農業に欠かせないが、施用した窒素の多くは、土壌中の硝化菌の活動により流出し、環境と生態系に問題を引き起こしている。受賞者は、植物の持つ「生物学的硝化抑制(BNI)」(根が特定の物質を放出して硝化菌を抑制する)を発見し、この機能を野生コムギから導入することで、BNI強化コムギの開発に成功した。BNI強化コムギは窒素肥料を効率よく使用しながら高収量が期待できるため、窒素肥料使用量を半減でき、コムギ生産からの環境負荷の低減に向け、世界的な注目を浴びている。