第1回食を考えるセミナー 逼迫する世界の資源と食糧需給
講師 柴田明夫 先生
セミナーには、賛助会の皆様をはじめ、ロシア、韓国、中国の各総領事館や関係各位、財団役員の方々よりご出席いただきました。
セミナーは、「逼迫する世界の資源と食糧需給」と題し行われました。概要は以下のとおりです。
(1)世界と中国
世界で全ての食料の価格が上昇している。これには、電気や石油(昨日は米国で100ドル/L)などのエネルギー資源の上昇が関っている。価格というのは、あらゆる情報の詰まったものであるので、これは中国などの発展途上国に重化学工業がシフトした結果であり、経済構造のパワーシフトが行われたわけで、このシフトの状況は食料の価格に最も先鋭的に表れてきている。
これは、また元に戻るような周期的な変化ではなく食料消費の増大による価格の均衡点の変化であって、すでに食品が安い時代は終わったと考えるべきである。
(2)日本の農業
日本の国内総生産が増加している中で農業比率が低下しているのは危機的。日本人の米離れも原因だが、800万トンは維持すべき生産と考えているが、本年の生産調整目標は795万トンとなっている。その一方で、輸入食糧は3000万トンあり、30年にもわたる生産調整が農家が必要な時に立ち上がる力を削いで来ている。
過剰を前提とした農政から不足を考える農政に転換を図る時に来ている。日本の農業に柔軟性と多様性を与える農政が必要だ。
画一的農業・農政からの脱皮して、適地適任・適策への変換が必要。
TPP参加を機会として、これまでの人材・資源を見直すべき。例えば、農水の進める6次化を見ても、うまく料理店が開けたとしても、今度は料理人を雇う、仕入れを行うなどの色々な面でのジレンマが生じてくる。最終的には、農家に経験のないリスクを背負わせる事になるのではないか。