品種、産地のDNA判別技術
大坪教授の研究室で開発された技術を用いると、コシヒカリはもちろん、その子どもであるひとめぼれ、あきたこまちでも判別できるそうです。このような技術の普及で、偽装表示の率が低下しました。更に、炊飯後の米や加工米飯、日本酒に使用されている米のDNA判定も可能になりました。日本酒は発酵によるDNA分解、麹・酵母のDNA混入等があり判別はたいへん難しいのですが、特別なプライマー(DNAの断片)の使用や、採取の方法を工夫することで判別が可能になったということです。この技術でワインのブドウの品種や、ビールの麦芽が100%なのかどうかということまで判るそうです。すごい技術です!
米粉の新たな可能性
米粉の製粉技術、加工評価技術は全国各地で研究・開発が進められていますが、新潟大学では米粉の機能性の研究が進められているそうです。グループ分けした動物に米粉、小麦、トウモロコシを与えた場合米粉を与えたグループの肝臓総中性脂質が明らかに少ないという結果が出ました。実験はまだ1年目と大坪教授はお話されていましたが、米粉の新たな機能性が期待されます。
また、大坪教授の食品製造学研究室では、米粉パンが硬くなることを防ぐ3種類の新形質米の配合を開発し、小麦粉パンよりも硬くならない老化防止技術も開発されたそうです。更に、糊化澱粉組成物によるパン・麺の加工技術の開発にも成功されました。米はグルテンを作らない、つまり膨らまないという問題点を解決するために、超硬質米を炊いて(糊化)加えたり、発芽玄米としてから加えることで、よく膨らむパンや、生地のしっかりした米粉麺の製造が可能になりました。この技術に利用されている超硬質米は消化されにくい澱粉が多く含まれているため、糖尿病になりにくい、肥満防止などの機能も期待できるそうです。
米研究が新しい市場を創造し、日本全国、そして世界へと流通していくことを希望していると大坪教授は最後に述べられました。そして、世界で発展する際にはDNA判定技術で育種の権利を守り、日本ブランドを発信し、権利を保護するという考え方も同時に併せ持つ必要があると大坪教授は考えられています。
今後も米研究が進み、私たちの食生活の様々な場面でお米や米粉が活躍してくれるよう期待しています。大坪教授、どうもありがとうございました。